最近、悪質水道業者による被害が多発しています。
水道に限ったことではありませんが、困っている人の弱みに付け込んで不安をあおり、必要のない部分まで勝手に修理したり、高額な請求をしたりする事件は昔から後を絶ちません。
つい先日も兵庫県でおきた悪質水道業者による被害が報道されていました。
法外な金額をぼったくったあげく、「クーリングオフはできない」と嘘を伝えた疑いがあるとの内容でした。
クーリングオフによる契約解除は、水道修理で訪問した業者に対しても行使できる場合が多いので、覚えておいてください。
<クーリングオフとは>
消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘されるなど、自らの意思がはっきりしないままに契約の申し込みをしてしまうことがあるため、消費者が頭を冷やし再考する機会を与えるために導入された制度。一定の期間内であれば違約金などの請求・説明要求を受けることなく、一方的な意思表示のみで申し込みの撤回や契約の解除ができる
引用元:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
さて、このような悪質水道業者に警戒すべきことは言うまでもありませんが、水回りのトラブルで本当に困っていた場合、どの業者を信用すればよいのか非常に迷います。
例えば、ネットの口コミや、優良業者の評判を参考に業者を選んでいる方が多いようです。
このようなネット情報で決めることをすすめている水道業者のサイトもよく見かけますが、私も元水道業者だった経験から率直に言うと、大部分は信用に足るものではありませんので、最初は疑ってかかるべきです。
その理由はこれから詳しく解説しますが、そもそも水道業者が同業者の手の内を全て明かして、その良し悪しを私たちに正確に伝えることが果たしてできるかどうか、まずはよく考えてみてください。
最初にご紹介した兵庫県の事件のように、誰の目から見ても明らかな悪質水道業者は実はそれほど厄介ではありません。
その手口はすでに多くの人に知られており、対策がとりやすいからです。
本当に警戒すべき悪質業者というのは、最後まで私たちがそれと気が付くことができない者たちのことです。
既存の水道業者が、その者の手口や見極め方まで伝えてしまうことは、自分の首を絞めることになりかねないので、多くの水道業者がサイトで伝えている「優良業者と悪質業者の見極め方」は信用できないのです。
この記事では、巷の水道業者が決して教えない真の悪質水道業者の見極め方をご説明するとともに、その手口と騙されないための対策までお伝えします。
いままで、ネットの情報だけで判断して業者選びをしていた方や、今まさに水道修理で業者を呼ぼうと考えている方にとって有益です。
水道業者が説明する悪質業者の見極め方と業者の選び方は信用できない
比較的優良とされる大手の水道業者が自社サイトにおいて「悪質水道業者の手口」「悪質水道業者の見極め方」などとうたって注意を促していることがよくあります。
しかし、これらはあくまで同業者が発信しているということを忘れないでください。
なるべく自社の業務に差し支えないよう、慎重に言葉を選んでいたり、説明が言葉足らずだったりするのが、注意して読めばすぐわかります。
それは、説明できる内容に限界があるからです。
なぜ、説明できる範囲に限界があるのか、これから詳しくご説明します。
まずは違いがわかりやすいように、呼び方を決めておきましょう。
- 昔からいる明らかな悪質水道業者⇒旧悪質水道業者
- 私たちが気付かないうちにばったくられている最近の悪質水道業者⇒真の悪質水道業者
結論から言ってしまえば、優良とされている既存の水道業者であっても、その多くは多かれ少なかれぼったくりと言われても仕方ない手口を巧みに使っています。
だから、全てを語れないのです。
旧悪質水道業者
昔から、悪質水道業者と呼ばれてしばしばニュースになってきた業者たちの手口の多くは、現在はパターン化してしまい、世間一般にも知れ渡っているため、比較的警戒されやすくなっています。
その手口は大きく3パターンに分類できます。
これを知っておくだけで、少なくとも簡単に騙されるようなことはないはずです。
- 勝手に作業して高額請求
- 後から代金上乗せ
- なおってない(保証などない)
しかし、それでも被害に遭ってしまう人が後を絶たないのには、いくつか原因があります。
- 高齢者が狙われやすいから
- 突発的な訪問で考える時間的余裕がないから
- 悪質水道業者自体が短命だから
3、についてもう少し詳しくご説明します。
ニュースになるような明らかに悪質な旧悪質水道業者は、その手口はもちろん、作業員の顔や名前、会社名などがすぐに知られてしまい、再び同じ手口が使えなくなるのです。
そこで、会社名を変えて再び狙いやすそうな高齢者の家を物色しはじめるのですが、いくら屋号を変更しても、警察が調べればすぐに前の悪質業者だとわかりますので、すでにマークされていることもあり、そのうち水道と言う業界から足を洗います(※中にはまっとうな水道業者に生まれ変わる会社も過去実際にありました)。
しかし、いつまでも同じ会社が悪事を重ねていれば警戒もしやすいのですが、ひとついなくなれば、新しく生まれる全く別の悪質業者が同じ手口を使って事件を起こすため、この手の被害がなかなか撲滅せずに繰り返されるのです。
たまに、警察や被害者の訴えをたくみに掻い潜って、長年暗躍し続ける旧悪質水道業者もいます。
旧悪質水道業者は遅るるに足りず
繰り返しになりますが、例えば勝手に作業して100万円以上の高額請求をしてくるような、あからさまな旧悪質水道業者は、それほど厄介な存在ではありません。
それは、手口が既に知られていて警戒されやすく、また、警察関係の目も光っているため再び同じ手口が使えずに消えていく運命にあるからです。
さて、問題なのはここからです。
既存の水道業者の多くがサイト上で警戒を促している「悪質水道業者」の説明は、この消えゆく運命にある旧悪質水道業者のことばかりなのです。
優良大手水道業者が主張する「悪質な水道業者の見極め方」
以下は、有名な大手水道業者が示した【水道業者を選ぶとき】気をつけるべきポイント5つです
- 他社と比較して極端に低価格
- 広告サイトに法人名、所在地が明記されていない
- 広告サイトの名称と実際にくる水道業者が違う
- 電話して法人名を尋ねてもハッキリ名乗らない
- 紛らわしい広告やホームページを使用している
同時に、【水道業者訪問時】確認するべきポイント5つと称し、以下の項目も挙げています。
- 飛び込み営業・依頼していない訪問
- 見積書を作成してくれない、作成しても有料である
- 費用に対して明確な説明がない
- 清潔感のない身だしなみで訪問
- お願いしても名刺や社員証を呈示してくれない
これらの項目を見たときに最初に感じるのは、端的に当たり前のことが多いことです。
間違ったことを言ってはいないのですが、これだけ悪質業者に対する注意喚起がなされている昨今、項目内容が陳腐すぎます。
「所在地不明」、「法人名名乗らず」、「実際にくる業者が違う」など論外で、実際の旧悪質水道業者でもここまでわかりやすくはありません。
では、既存の水道業者が決して語らない悪質水道業者の本当の見極め方について、ご説明します。
すなわち、真の悪質水道業者の手口です。
ここからが本題となります。
同業者が決して明かさない真の悪質水道業者の手口とは
真の悪質水道業者の最大の特徴は、依頼者が騙されていることに気が付かないことです。
その手口をいくつか挙げてみます。
ポイントは、この内容自体は極めて悪質なのですが、実際に依頼者と業者との間で交わされるこの件についての会話は、終始穏やかに行われる点です。
水漏れ修理
簡単なパッキン交換で直る水栓蛇口でも、「他の部分からも水漏れが起こる危険がある」「経年劣化なので、取り換えた方がいい」などと提案し続け、結局ふたを開けてみれば、パッキン交換より何倍も高くついてしまうケース。
トイレつまり
本当はローポンプ(業務用のラバーカップのようなもの)の吸い上げで、簡単に抜けたのに、それを隠して、「なかなか抜けません」と言いながら、トーラー(ワイヤーを通して異物をくだく)や高圧洗浄を提案し始めるケース。
料金設定
作業前に必ず見積書を提示して、それ以上の料金はかからないと説明して依頼者の了解を得るのが基本ですが、「状況が変わりました」「さきほどのお見積もりだとここまでの作業が限界です」という話になり、だんだん金額が追加されていき最初に見積もりした意味がなくなっていく。
※また、マグネットやネットからの問い合わせで2000円オフなどのうたい文句もよくありますが、最初の見積もり料金は2000円上乗せして出しているので、結局意味がありません。
こういった巧妙な手口を用いて、請求できる金額をなるべく釣り上げていくのが真の悪質水道業者のやり方です。
困ったことに、「せっかく呼んだから」と言う気持ちもあって、「水道のプロがここまでやっても駄目だと言うのだから、金額は高くても最期までやってもらおう」と考える方がほとんどなのです。
むしろ、「ここまで一生懸命やってくれてありがたい」などと感動してアンケートまで書いて送ってくる方までいます。
実際は、もっと簡単にもっと安く直ったにもかかわらずです。
同業者が真の悪質水道業者の手口を明かさない理由
勝手な作業をして高額請求してくる旧悪質水道業者のような手口なら、すぐにニュースになり被害者から訴えられるでしょうが、真の悪質水道業者の手口は巧妙で合法的で、被害者は自分が騙されていることにさえ気が付いていません。
今のネット情報や口コミなどでは優良業者と呼ばれている有名な水道業者だったとしても、その業者の一部はこの手口を用いて稼いでいると考えられます。
そのような既存の水道業者が伝える「悪質水道業者の見極め方」がどれも陳腐な情報になってしまう理由はここにあります。
真の悪質水道業者に騙されないための方法
自分が騙されていることにも気が付きにくい、巧妙な手口を用いる真の悪質水道業者ですが、騙されないための対策は案外簡単にできます。
- 作業担当員のことをよく知ること
- 確認事項は自分から先手を打って確認する
- 作業中は一緒にいて見ている
作業担当員のことをよく知ること
実はこれがもっとも重要です。
作業員は修理をしに来てくれるので、依頼者はどちらかというと、作業員のことをつい「工事人」「職人」と同類だと見てしまいがちなのですが、実は彼らは営業マンなのです。
仮に安く簡単に直せる部分であっても、本体の交換を提案します。
ただ、水回りのトラブルは新しいものに交換することが一番安心だということも事実なので、一概に騙す行為だとはいえないのがもどかしいところです。
彼らは営業をかけてくるものと認識しておいて、予定外のものまで決して触れさせないようにすることが肝要です。
作業員の報酬制度も関係がある
訪問してきた作業員の報酬制度がもしわかれば、実はその方が悪質水道業者であるかどうかを見極めるヒントになります。
その方が社員で給料制か、または業務委託で歩合制かによって、警戒度合いは雲泥の差があります。
なぜなら、社員であれば、いくら現場で修理しようとその人の給料の金額は変わりません。
他方、業務委託で歩合制の場合は、現場作業での売上が自分の収入に直結しますので、自然、無茶な提案をして、パッキン交換で済む修理をリフォームの話にまで広げていくこともざらにあります。
来た作業員が社員か業務委託か、これはかなり重要です。
水道作業員についてさらに詳しい解説は↓
確認事項は自分から先手を打って確認する
水道業者が悪質かどうかに関わらず、作業をお願いするときの手順はだいたい決まっているものです。
- 修理箇所の確認
- 見積書作成
- 作業開始
基本料金とキャンセル料の有無は、依頼電話の段階で必ず確認を済ませておかなくてはなりません。
実際に作業員が到着したら、特に料金については「間違いなくこの金額でやってください」と念押ししておきましょう。
不明な点がある場合は、作業に入らず帰ってもらうのが一番です。
作業中は一緒にいて見ている
私が現役の時、「勉強のためにちょっと見せて」と言ってベッタリ見ている方というのが結構いました。
正直に言うと、非常に作業しにくいのですが、私がもし真の悪質水道業者だったなら、状況をごまかせないので、この家で営業をかけるのはあきらめるでしょう。
依頼者は是非やるべきだと考えます。
まとめ
同業の水道業者が伝える「悪質な水道業者の見極め方」が信用できない理由をここまで述べてきました。
- 強引に高額請求してくるような明らかな悪質水道業者(旧悪質水道業者)のことについては、その特徴や見極め方を流ちょうに伝えているサイトは多いです。
- しかし、気が付いたときには騙されているような真の悪質水道業者の手口については既存の水道業者はどこもひとつも語りません。
- その理由は、今もってその手口を用いて稼いでいる一部の水道業者がいるからなのです。
- 真の悪質水道業者は営業マンです。
- その手口は合法的であり、依頼者は騙されていることに気付かないどころか、よくやってくれたと感謝の念まで抱きます。
- 真の悪質水道業者に騙されないためには、作業員が社員か業務委託かを知ることができれば見極め安いです。
最期にもう一つだけアドバイスです。
信用できる水道業者を判断する基準のひとつとして、水道局指定工事事業者であることを挙げる人がたまにいますが、あまりアテにはできません。
水道局指定は持っているのが当たり前です。
悪質業者か優良業者か以前の問題で、水道業界に携わった者として言うならば、今は指定を受けていないとそもそも一般的に水道業者と見なしてはいけないレベルです。
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