浴室に備え付けられている水栓の多くは、シャワー付きの2ハンドル混合栓か、サーモスタット混合水栓のどちらかです。
シャワー付き2ハンドル混合栓
お風呂の自動お湯はり機能が普及してきたことに伴い、最近では2ハンドル混合水栓はあまり見かけなくなりました。
戸建て、マンションを問わず浴室にはサーモスタット混合水栓が主流となりつつあります。
しかし、サーモスタットの難点は水漏れなどの不具合を起こした時に、2ハンドル混合栓のように素人が簡単に直せるものではないことです。
無理をせずに信頼できる水道業者を呼ぶことが一番ですが、交換すべき部品はある程度パターンが決まっていて単純です。
例えば10年近く使用していて、新品に交換するつもりであれば、業者を呼ぶ前にダメ元でご自分で修理してみるのもよいかもしれません。
そのような人のために、この記事では、サーモスタットの不具合を部品交換で直す方法をご説明します。
率直に言えば、サーモスタットが不具合を起こした際、交換すべき主な部品は2つあります。
- 切換え弁
- 温度調節ユニット
メーカーによって呼称が様々で、切換えバルブ、切換えユニットや、開閉バルブ、温度調節弁、温度調節ユニットなどとなっており、形状も異なりますが、役割はほぼ同じです。
そして、上記2点はサーモスタット本体の不具合ですが、その他、取付脚の部分である偏心菅とスパウト(吐水口)、シャワーホースも水漏れを起こしやすい箇所です。
それそれの箇所における部品交換を解説していきます。
繰り返しになりますが、サーモスタット修理は難易度が高めですので、下手にいじると悪化することもあります。
止水をしっかりした上で、「業者を呼ぶ前のダメ元で挑戦してみる」くらいに考えておいて、決して無理はしないようにしてください。
止水栓で水を止めた後は自分で水漏れ修理④浴室サーモスタットの修理
サーモスタットの止水
サーモスタットの仕組みを簡単に言うと、水とお湯を混ぜ合わせて適正な温度を作っている混合水栓です。
2ハンドル混合栓を使ったことがあれば、水とお湯を両方出して、丁度いい温度にしてみたことがあると思いますが、サーモスタットはそれを自動で行っているのです。
下の画像の矢印は取付脚の部分ですが、左からお湯、右から水が送られてきます。
意外と知らない人が多いのですが、実はここがマイナスドライバーで回して止水できるようになっており、お湯と水の量を調節することもできるようになっています。
ただし、古い住宅や借家などでなければ、予め給湯器の温度を考慮して適正な温度が設定されていますので、むやみにいじるとかえって設定がおかしくなりますので、温度に問題がなければ触れないようにしてください。
作業する前にここでサーモスタットだけ止水することができますが、古くて回らない場合もありますので、できれば元栓で止水しましょう。
止水栓の場所について詳しくは→トイレや洗面などの水回りにある止水栓とは?種類ごとの水の止め方
切換え弁
切換え弁は、水またはお湯を出すのをカランかシャワーかを切り替える役割があります。
2ハンドル混合栓にもあり、上記画像だと真ん中に付いている黒いレバーが切換え弁です。
サーモスタットの場合、この切換え弁が右レバー部分に内蔵されているのです。
切換え弁の交換が必要な症状
- シャワーとカランが切り替わらない
- 切換え弁内蔵部から水漏れがある
- 右レバーがまわらない、もしくは一回転する
- 吐水口から(またはシャワーヘッド)水が止まらない
その他にも様々な症状がありますが、サーモスタットの水漏れ原因のほとんどはこの切換え弁の劣化によるものです。
交換自体はそう難しくないのですが、切換え弁はメーカーによって色々な種類があり、品番でも合わないものがありますので、交換の際は注意が必要です。
また、古いサーモスタットは本体が摩耗して新しい切換え弁がうまく入らないこともありますので、その時はサーモスタット本体の交換が必要です。
下記は、切換え弁の交換方法と交換部品の一例です。
温度調節ユニット
温度調節ユニットは、適正な温度でお湯をだすために、水とお湯を配合させている部品です。
形状記憶したバネが伸び縮みすることにより温度が調節されているのですが、お湯が出なくなった場合は、給湯器の故障でなければ、この温度調節ユニットの故障です。
温度調節ユニットもメーカーと品番によって種類が異なりますので、交換の際は適合するユニットを探さなければなりません。
およそ10年でユニットの生産は終了していることも多いので、代替品がないかメーカーに問い合わせて、それでもない場合は本体交換になります。
下記は、温度調節ユニットの交換方法と交換部品の一例です。
本体が摩耗していると上手く入らないこともあります。
偏心菅
偏心菅はいわゆる取付脚の部分のことです。
止水できることは上述しました。
偏心菅は本体との接続部においてしばしば水漏れをおこします。
ナット部分のゴムパッキンを交換すれば簡単に直ることが多いので、偏心菅の水漏れはご自分で修理される方も多いです。
ただし、上記画像のような配管と取付脚の接続部分(壁の接続面)から水漏れしていた場合は、手を出さず、業者を呼んでください。
シャワーホース
シャワーホースが原因の水漏れは、主に3点考えられます。
- ホースの破損
- 本体接続部分のナットとパッキン
- シャワーヘッド部のナットとパッキン
ホースはよく穴が開いて水漏れしますので、ホースを交換すれば直ります。
本体との接続部部は、ナットが緩んでいる時は増し締めし、緩んでいなければパッキンが劣化しています。
シャワーヘッドとホースはネジ式になっています。
そこから水漏れしている場合、きつく締めなおすか、やはりパッキンが劣化しているので交換します。
※シャワーヘッドから時間をおいてポタポタと水が垂れるのは、残水が垂れているだけで水漏れではないケースもあります。
この場合は、使わないでしばらく様子を見て水漏れかどうかを確かめてください。
吐水口(スパウト)接続部
これはサーモスタットに限ったことではないですが、本体とスパウトの接続面は水漏れが発生しやすい箇所です。
ほとんどパッキン交換で直りますが、古いスパウトは腐食してスパウト自体に穴が開いてしまっていることもありますので、パッキン付きスパウトと交換した方が安心です。
最後に
2ハンドル混合栓と比べて、サーモスタットの自己修理は難易度が高めです。
特に切換え弁と温度調節ユニットの交換は慣れていない方はあまり手を出すべきではありません。
業者を呼ぶ前提で挑戦する程度にしておいてください。
また、それ以外の箇所の水漏れは自己修理も十分可能ですが、はやり無理はせず、ダメだと感じたらすぐに信頼できる水道業者をよびましょう。
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